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- ハウスメーカーと工務店、自分たちはどっちで家を建てればいいの?
- そもそも、ハウスメーカーと工務店では何がどう違うの?
家づくりを考え始めたばかりの人は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。この記事では、ハウスメーカーと工務店の違いについて、専門的な視点も交えながら分かりやすく解説します。
それぞれのメリット・デメリットだけでなく、どのような人に向いているのかまでわかるので、家づくりの際には、自分に最適なメーカーを選ぶことができます。

私たちは、それぞれの特徴を理解したうえで、大手ハウスメーカーを選択肢から外し、地域の工務店11社の中からベストな1社を選んだよ。
ハウスメーカーと工務店のどちらが良いかは、その人が重視しているものによって変わります。自分たちの家づくりにおいて何を最も重視するのかを明確にし、自分たちの価値観やライフスタイル、予算に合ったメーカーを選ぶ事が大切です。
ハウスメーカーと工務店の違い

まずは、ハウスメーカーと工務店の基本的な違いを見ていきましょう。規模や得意なプラン、価格帯など、さまざまな側面から比較していきます。
規模と施工エリア
ハウスメーカーと工務店の最も分かりやすい違いは、会社の規模と家を建てられるエリア(施工エリア)です。
ハウスメーカーは広範囲で均一なサービスを提供しているのに対し、工務店は地域に特化したきめ細やかな対応を得意としています。
ハウスメーカーの規模と施工エリア
多くは全国展開している大企業です。テレビCMなどで名前を聞いたことがある会社も多いのではないでしょうか。各地に支店や営業所、住宅展示場を持っているのが特徴です。一部の地域を除き、基本的に日本全国どこでも家を建てることが可能です。広範囲なネットワークと、統一されたブランドイメージを持っています。

フランチャイズ展開しているメーカーもあり、その場合は加盟している地元の会社が施工を担当することもあるよ。
工務店の規模と施工エリア
多くは地域に根ざした中小企業や個人経営です。「〇〇市の工務店」のように、特定のエリアで活動しているのが一般的です。施工エリアも、会社がある地域周辺に限られます。その代わり、その地域の気候や風土をよく理解しており、地域での評判を大切にしています。社長さんや担当者の顔が見えやすく、身近な存在として家づくりをサポートしてくれるのが魅力と言えるでしょう。
プランの作り方
家づくりのプラン(設計や間取り)の作り方にも、大きな違いがあります。
プランの自由度を重視するなら工務店、手軽さや完成形のイメージしやすさを求めるならハウスメーカー、という傾向があります。
>>注文住宅について詳しく知りたい方はこちら
建売との違いやメリット、注文住宅の種類についても詳しく解説しています。
ハウスメーカーのプランの作り方
多くの場合、「規格住宅」や「セミオーダー住宅」が中心です。規格住宅とは、あらかじめ用意された複数のプランから選ぶタイプ。セミオーダー住宅は、その規格プランをベースに、間取りや設備などを部分的に変更できるタイプです。たくさんの商品ラインナップの中から、好みに近いものを選びやすいのがメリットです。
完全な自由設計(フルオーダー)に対応できるメーカーもありますが、制約が多かったり、価格が高くなったりする傾向にあります。設計は、社内の設計担当者や提携している設計事務所が行います。
工務店のプランの作り方
「フルオーダー(自由設計)」に対応しているところが多いのが特徴です。ゼロから施主の要望を聞き取り、完全にオリジナルの家をつくることができます。
「こんな間取りにしたい」「こんなデザインが好き」といった、細かなこだわりを形にしやすいのが魅力です。もちろん、工務店によっては規格住宅やセミオーダーに対応している場合もあります。設計は、工務店内部の設計士か、あなたが希望すれば外部の建築家と協力して進めることも可能です。

フルオーダーの注文住宅を建てる事ができるのが、工務店の最も大きな特徴だよ。私たちは家にかけるこだわりがとても強かったから、工務店一択だったね。
建築コスト
気になる建築コスト、つまり家を建てるのにかかる費用にも違いが見られます。総額でいくら費用がかかるのか、見積もりの内容をしっかり比較検討することが重要です。
>>注文住宅の見積もりについての詳細はこちら
見積もりの取り方や、比較方法などについて詳しく解説しています。
ハウスメーカーの建築コスト
一般的に、工務店よりも価格帯は高めになる傾向があります。以下ようなコストが建築費に含まれている事が価格が高くなる理由です。
- テレビCMなどの広告宣伝費
- 新しい技術やデザインの研究開発費
- 全国にある住宅展示場の維持費
- 多くの社員の人件費
ただし、建材や設備を一度に大量に仕入れたり、工場で部材を生産したりすることで、コストダウンも図っています。
見積もりやホームページなどで、価格が坪単価(※)で表記されていることが多いです。しかし、建物本体以外に必要な工事(付帯工事)や諸経費が別で必要になるため、最終的な総額がわかりにくい場合もあります。基本仕様が決められており、オプションを追加すると、価格が大きく変動することもあります。
※坪単価とは
建物の床面積1坪あたりにかかる建築費のこと。ただし、算出基準が会社によって異なるため注意が必要。
工務店の建築コスト
ハウスメーカーのような大規模な広告宣伝を行わないため、その分の費用が価格に上乗せされにくいです。同じような仕様の家であれば、ハウスメーカーよりも費用を抑えられる可能性があります。ただし、建材などは個別に仕入れることが多く、ハウスメーカーのようなスケールメリットは得にくいです。
完全な自由設計であるため、こだわればこだわるほど費用は高くなります。見積もりの出し方や含まれる項目も工務店によって差があるため、内容をしっかり確認することが大切です。

工務店によっては、価格交渉の余地がある場合もあるよ。
工期
家を建て始めてから完成するまでの期間(工期)にも違いがあります。
>>家を建てるために必要な期間についての詳細はこちら
家を建てる際の具体的なスケジュールや工期を短くするためのコツについて解説しています。
ハウスメーカーの工期
工期は比較的短い傾向にあります。目安としては、着工から引き渡しまで4ヶ月から6ヶ月程度です。その理由は、設計プランがある程度決まっていることや、壁や柱などの部材をあらかじめ工場で生産し(プレハブ化やユニット化)、現場で組み立てる工法を採用しているメーカーが多いためです。

設計プランを企画化し、部材を標準化することで工期を短縮しているよ。つまり、プランの自由度はそれほど高くできないってこと。
施工の手順もマニュアル化されていることが多く、効率的に工事を進めることができます。工場生産の割合が高い工法だと、現場での作業期間が短くなり、雨などの天候の影響を受けにくいというメリットもあります。スケジュール管理がしっかりしていることが多いです。
工務店の工期
ハウスメーカーに比べると、工期は長くなる傾向があります。目安としては、6ヶ月から1年、あるいはそれ以上かかることもあります。
自由設計の場合は、プランが決まるまでの打ち合わせに時間がかかります。現場で職人さんが手作業でつくる部分が多く、一つ一つの工程に時間がかかることも工期が長くなる原因の一つです。
地域の気候や現場の状況に合わせて丁寧に作業を進めるため、天候によっては工期が延びる可能性もあります。じっくりと時間をかけて、こだわりの家づくりを進めたい方に向いているといえます。
施工技術と品質
家の品質や、それを支える施工技術にもそれぞれの特徴があります。
ハウスメーカーの施工技術と品質
品質は安定している傾向にあります。部材を自社工場で生産し、厳しい品質基準を設けているハウスメーカーが多いです。
現場での施工方法もマニュアル化し、研修を受けた自社の社員や提携している施工業者が担当することで、どの地域で建てても、どの担当者でも、一定水準の品質を保ちやすくしています。
耐震性や断熱性、省エネ性といった住宅性能に関する研究開発にも力を入れており、最新技術を取り入れた家づくりが得意です。
ただし、マニュアル化されている分、画一的な仕上がりになりやすい側面もあります。注意点として、実際の工事は下請けの業者さんが行うことが多いので、現場を管理する監督さんの能力が品質に影響する可能性も考慮しましょう。
工務店の施工技術と品質
施工技術や品質は、工務店によって大きな差が出ます。地域で評判の、腕の良い職人さんを抱えている工務店であれば、ハウスメーカー以上に高品質で丁寧な施工が期待できます。自然素材の扱いや、その地域に伝わる伝統的な工法に長けている場合もあります。
一方で、技術力や品質管理体制が十分でない工務店も存在する可能性があります。依頼する前に以下のような方法を活用し、技術力をしっかり見極めることが非常に重要です。
- 過去の施工事例を確認する
- 実際に利用した人の評価や口コミを確認する
- 第三者の専門家による住宅診断(ホームインスペクション)を利用する
工務店の場合、大手ハウスメーカーのように住宅展示場などでモデルハウスを見学することができないケースが多いです。実際に建築した引き渡し前の物件をモデルハウスとして公開しているので、工務店に問い合わせをして見学することをオススメします。

私たちの場合、工務店のモデルハウスの見学が工務店選びの決め手の一つになったよ。難易度の高いアーチ部分のクロスの貼り方がとても綺麗で、その工務店が抱える職人さんの技術力の高さを確認することが出来たんだ。
>>モデルハウス見学についての詳細はこちら
モデルハウス見学時に注視するポイントや、見学後の流れなどについて詳しく解説しています。
アフターサービス
家は建てて終わりではありません。長く快適に住み続けるためには、完成後のアフターサービスや保証が重要になります。
ハウスメーカーのアフターサービス
ハウスメーカーでのアフターサービス体制は、充実している傾向にあります。引き渡し後、定期的に無料点検を実施するプログラムを用意しているメーカーが多いです。
例えば、6か月後、1年後、2年後、5年後、10年後などのスパンで、定期点検を行うプランなどがあります。専門のアフターサービス部門が設けられており、不具合があった場合のコールセンターなどの対応窓口も整備されています。
保証期間も長く設定されていることが多く、中には最長で60年保証といった長期保証を打ち出しているメーカーもあります。全国どこでも同じレベルのサービスを受けられる安心感があることが強みです。ただし、担当者が異動で変わってしまうことや、マニュアルに沿った対応になりがち、という声も聞かれます。
工務店のアフターサービス
アフターサービスの体制は、工務店によって大きく異なります。地域密着ならではの強みとして、何かあったときに社長さんや担当者がすぐに駆けつけてくれるような、迅速できめ細やかな対応が期待できる場合があります。
一方で、保証期間や定期点検の頻度、内容などはハウスメーカーほど手厚くない場合もあります。会社によっては、明確な保証制度が決まっていないことも考えられます。
もしも工務店が廃業してしまった場合は、その後の保証やメンテナンスが受けれなくなるリスクも考慮する必要があります。契約前に、保証内容や点検の有無、体制についてしっかり確認しておきましょう。
倒産リスク
万が一のことですが、家を建てている途中や、建てた後に依頼した会社が倒産してしまうリスクも考えておく必要があります。
ハウスメーカーの倒産リスク
一般的には、倒産リスクは低いと考えられています。ハウスメーカーの多くが大企業であり、経営基盤が比較的安定しているためです。会社の財務状況なども公開されていることが多いので、経営状態をある程度把握することも可能です。
ただし、『大手だから絶対に安心』ということではありません。過去には経営破綻したハウスメーカーの事例もあります。多くのハウスメーカーでは、万が一破産した場合でも家を完成させるための『住宅完成保証制度』に加入しているので、加入状況を確認しておくとより安心です。
工務店の倒産リスク
ハウスメーカーと比較すると、相対的に倒産リスクは高いと言えます。中小企業や個人経営が多く、経営者の手腕や景気の変動に経営状況が左右されやすいためです。会社の経営状態も外部からは見えにくいことが多いでしょう。
工務店を選ぶ際には、経営年数や地域での評判、そして「住宅完成保証制度」に加入しているかどうかを確認することが非常に重要になります。この制度に加入していれば、もしもの時にも、最小限の追加負担で家を完成させることが可能です。
ハウスメーカーと工務店のメリット

それぞれの違いが分かったところで、次はハウスメーカーと工務店、それぞれで家を建てる場合のメリットについて具体的に解説していきます。
ハウスメーカーで家を建てる場合のメリット
ハウスメーカーの強みは、知名度の高さと規模の大きさです。ハウスメーカーで家を建てる場合のメリットとしては、これらの強みによるものが多くあります。
- ブランド力と安心感
- 品質の安定性
- 情報収集のしやすさ
- 充実した保証とアフターサービス
- 最新技術・設備の導入
- 工期の短さ
- 住宅ローンの提携
- 提案力
>>ハウスメーカーの選び方についての詳細はこちら
ハウスメーカーを選ぶときの基準や流れ、注意点などについて詳しく解説しています。
ブランド力と安心感
有名なハウスメーカーが多く、社会的な信用度が高いです。長年の実績や企業規模からくる安心感は大きな魅力です。倒産のリスクも比較的少ないと考えられます。

テレビCMなどでもよく目にするようなメーカーが多いよ。
品質の安定性
材料の品質管理や施工方法がマニュアル化されています。そのため、全国どこで建てても、一定水準の品質が期待できます。耐震性や断熱性などの性能面においても、高いレベルで安定しています。
情報収集のしやすさ
カタログやウェブサイトが充実しています。大手のハウスメーカーは、ハウジングセンターなどの住宅展示場にモデルハウスを所有しています。
モデルハウスは定期的に建て直されているので、常に最新のデザイン、住宅設備を実際にみて体感する事ができます。体感することで、理想の家のイメージを作りやすく、比較検討しやすくなります。
充実した保証とアフターサービス
長期保証や定期的な無料点検など、家を建てた後のサポート体制が整っている事が多いです。アフターサービス専門の部署が対応してくれる安心感があります。

規模が大きい分、アフターサービスだけにも人員を割くことができるよね。
最新技術・設備の導入
大手のハウスメーカーでは、研究開発にも力を入れています。耐震性や省エネ性などの最新技術を取り入れた住宅や、最新の住宅設備を選びやすいです。
工期の短さ
工場での生産や標準化された工程により、比較的に短い期間で家が完成します。プランについても、あらかじめ決められたものの中から選んでいくため、施工前の打ち合わせの時間も長くなりにくくなっています。

工場で部分的に組み立た物を現場にクレーンで運んで組み立てる『ユニット工法』などを採用しているメーカーもあるよ。
住宅ローンの提携
多くの金融機関と提携しているため、住宅ローンの手続きがスムーズに進む場合があります。金利の優遇を受けられることもあります。
提案力
豊富な建築実績に基づいた、さまざまなプランの提案を受けられます。インテリアコーディネーターなど、専門家によるアドバイスをもらえることもあります。
工務店で家を建てる場合のメリット
ハウスメーカーとは違い規模は小さい工務店ですが、それゆえに自由度が高く、柔軟な対応が可能であることが強みです。工務店で家を建てる場合には、以下のようなメリットがあります。
- 設計の自由度が高い
- 地域密着ならではの対応
- 直接的なコミュニケーション
- コストパフォーマンス
- 柔軟な対応
- 職人の技術
設計の自由度が高い
工務店で家を建てる場合の最大の魅力は、自由設計ができる事です。ハウスメーカーの場合、注文住宅といっても、決められたプランの中から選択するような規格住宅の場合がほとんど。それに対し、工務店では完全なフルオーダー住宅を建てる事が可能です。

間取り、デザイン、素材、住宅設備など、自分たちのこだわりやライフスタイルに合わせて、世界に一つだけの家を作ることができるよ。
地域密着ならではの対応
工務店では対象とするエリアが決められています。限られた地域の中で家づくりをしているので、その地域の気候や風土を熟知した家づくりが可能です。
例えば、土地探しから親身に相談にのってくれたり、家を建てた後に何か困ったことがあった場合でもすぐに駆けつけてくれたりと、きめ細やかな対応が期待できます。
直接的なコミュニケーション
工務店の場合、会社の規模が小さく従業員の数も多くありません。そのため、社長さんや設計担当者、現場の職人さんと直接話をする機会が多く、意思疎通が図りやすいです。
コミュニケーションを上手く取ることができるので、親しみやすく、家づくりのプロセスに深く関わることができます。

工務店のスタッフや職人さんたちと良い関係を築くことができれば、工事の期間中も見学に行きやすいよ。僕たちの場合、『いつでも見にきてください!』っていってくれてたので、見学にも行きやすかったね。
コストパフォーマンス
工務店ではハウスメーカーのように沢山の広告宣伝費をかけることが少なく、家を建てるための費用が安くなります。その為、建築費用そのものに予算をかけることができます。
同じ予算でも、よりこだわった仕様にできる可能性が高くなるので、自分たちの理想の家づくりに近づきます。

工務店によっては、価格交渉に応じてくれる場合もあるよ。
柔軟な対応
コミュニケーションが取りやすい、レスポンスが良いことも相まって、建築途中の細やかな仕様変更や、ちょっとした要望にも、可能な範囲で柔軟に対応してくれることが多いです。

もちろん内容によっては追加費用がかかる場合もあるよ。僕たちの場合は、屋根までついた段階で、家の中の日当たりの状況を見てアーチの間口を無償で広げてもらうことが出来たよ。
職人の技術
工務店の場合、規模が小さいこともあっていつも決まった大工さん、職人さんが施工に入ることになります。その為、物件によって大工さんや職人さんのレベルがブレることが少ないです。
その地域で信頼されている腕の良い職人さんによる、丁寧な手仕事が期待できます。無垢材などの自然素材や、特殊な工法を用いた家づくりを得意としている工務店もあります。

私たちの工務店を選んだ決め手の一つが、モデルルーム見学の時に見たクロスを貼る職人さんの技術の高さ。アーチになっている難しい部分をとても綺麗に仕上げてあったよ。私たちの家にもアーチがあるんだけど、同じようにとても綺麗に仕上がっていて感動したんだ!
ハウスメーカーと工務店のデメリット

メリットがあれば、当然デメリットもあります。契約してから後悔しないように、それぞれの注意点もしっかり理解しておきましょう。デメリットを理解しておけば、家づくりの際にはあらかじめ対策をうつことが可能です。
ハウスメーカーで家を建てる場合のデメリット
知名度が高く、規模が大きいハウスメーカーには沢山のメリットがありますが、規模が大きいが故にデメリットとなる点もいくつかあります。
- プランの自由度は低い
- 価格が高め
- 仕様の画一性(個性がない)
- 担当者の異動
- マニュアル対応になりがち
- 下請け施工の可能性
プランの自由度が低い
ハウスメーカーの場合、規格化された商品が中心です。その為、間取りやデザイン、仕様の変更に制限が多くなります。『ここをこうしたい!』というこだわりがあっても、マニュアル上できない場合があったり、対応できる場合も高額なオプション費用がかかってしまうことがあります。
価格が高め
ハウスメーカーでは、テレビCMや住宅展示場のモデルハウスの維持費などの広告宣伝費や研究開発費を多くかけています。それらの費用が建物の本体価格に含まれることで、工務店に比べると建築費用が高くなる傾向にあります。
その他にも、会社の規模が大きいことや規格を標準化して費用を抑えていることが理由で、諸経費やオプション費用がかさみやすくなります。
仕様の画一性(個性がない)
ハウスメーカーでは、標準仕様がある程度決められています。その為、個性的なデザインや、特定の自然素材などを使いたい場合に、対応が難しかったり高額なオプション費用が発生することがあります。
決められた規格の中でプランを決めていくため、そのメーカーで建てた家は似たような外観、内装になりやすい傾向にあります。
担当者の異動
会社の規模が大きく、全国に支店があるので人事異動があります。打ち合わせをしていた営業担当者や設計担当者が、途中で変わってしまう可能性もゼロではありません。

当然しっかりと引き継ぎはしてもらえるだろうけど、せっかく親しくなった担当者が変わってしまうのは残念だよね。
マニュアル対応になりがち
ルールやマニュアルがしっかりしている反面、イレギュラーな要望や細かな希望に対して、融通が利きにくい場合があります。
下請け施工の可能性
実際の工事は、ハウスメーカーの正社員ではなく、契約している下請けの工務店や職人さんが担当するケースが多いです。現場の管理体制によっては、下請けの能力差によって品質にばらつきが生じる可能性もあります。
ハウスメーカーの規模が大きくなれば、同じ時期に複数の物件を施行することも珍しくありません。タイミングが重なれば、同じ下請け業者が担当することはできず、物件によって担当する下請け業者が変わります。下請け業者に能力の差がある場合は、物件によって見栄えや完成度、対応の良し悪しなどに差が生まれてしまう可能性があります。
工務店で家を建てる場合のデメリット
規模が小さいことで、自由で柔軟な対応が可能な工務店ですが、工務店によって品質やサービスの質に差が出やすいことが大きなデメリットといえます。その為、契約前にその工務店の品質や相性をしっかり調査することが大切です。
- 品質や技術力のばらつき
- 倒産リスク
- 保証・アフターサービス体制
- 工期が長くなる傾向
- 情報収集の難しさ
- 提案力・デザイン力の差
- 住宅ローンの手続き
品質や技術力のばらつき
工務店は規模が小さいこともあり、働く従業員の数も多くありません。従業員一人一人の能力が会社の能力に影響を与えやすく、工務店によって技術力やデザインセンス、施工の丁寧さなどに大きな差があります。
良い工務店を見つけるためには、情報収集と比較検討が欠かせません。初めて家を建てる素人にとって、見極めが難しいことも、デメリットの一つです。
倒産リスク
一般的に、工務店は経営規模が小さいことが多いです。大手のハウスメーカーに比べると、会社の経営が不安定になったり、倒産してしまうリスクが相対的に高いです。住宅完成保証制度への加入確認は必須と言えます。
住宅完成保証制度とは
住宅完成保証制度とは、新築住宅の建設中に施工業者(ハウスメーカーや工務店など)が倒産した場合など、工事が継続できなくなった場合に、住宅を完成させるために必要な費用の一部を保証する制度です。
住宅完成保証制度への加入は義務ではありません。契約前に、制度への加入がある工務店かどうかは確認しておくようにしてください。
保証・アフターサービス体制
保証期間の長さや定期点検の有無、トラブル発生時の対応スピードなどは、工務店によって大きく異なります。ハウスメーカーほど充実していない場合もあります。契約前には、しっかりと確認するようにしてください。

家は建てることがゴールではないよ。建てた後に長い期間その家で生活することになる。長く快適な暮らしを維持するためにも、保証やアフターサービスはとても大切だね。
工期が長くなる傾向
自由設計、フルオーダー住宅が工務店の魅力です。しかし、全てを自分たちで決める必要があるために、プランニングに多くの時間が必要になります。
他にも、ハウスメーカーの様な工場でユニットを組み立てることがなく、ほとんどが現場での手作業になります。そのため、ハウスメーカーよりも家を建てるための工期が長くなることが一般的です。
>>工期を短くするためのコツなどについてはこちらの記事が参考になります。
情報収集の難しさ
ハウスメーカーのように、立派なカタログや住宅展示場がない工務店が多く、その工務店の情報を集めるのに手間がかかることがあります。施工事例や口コミなどを、自分で積極的に調べる必要があります。

最近では、インスタグラムなどのSNSや公式ホームページで施工事例を投稿している工務店もあるよ。インターネットをうまく活用して、情報収集をしよう。他にも、工務店との打ち合わせの際に、施工事例を写真で見せてもらうこともできるよ。
提案力・デザイン力の差
会社の規模が小さいことで、抱えている設計者やデザイナーの能力がそのままその工務店の技術力などに直結しやすいです。
優秀な人材が少ない工務店ではデザインの提案力が低かったり、最新の設備や工法に関する知識が少なかったりする場合もあります。
住宅ローンの手続き
ハウスメーカーのように金融機関との提携ローンがないことが多く、自分で銀行を探して手続きを進める必要がある場合もあります。

私たちの場合は、工務店がよく付き合いのある銀行と私たちが気になっている銀行、合計3社に工務店から事前審査の申し込みをしてもらったよ。その中かた一番金利の良い銀行を選んで、工務店に手続きを進めてもらったんだ。
ハウスメーカーと工務店の選び方の違い

ハウスメーカーと工務店のどちらが向いているのか、どちらを選ぶべきかは、その人の価値観や状況によって変わります。メリット・デメリットを踏まえて、選び方のポイントを解説します。
ハウスメーカーがおすすめの人
ハウスメーカーの最大のメリットはブランド力と規模の大きさです。特にこだわりがなく、安心感などに重きを置く人におすすめです。
- 家づくりに手間や時間をかけたくない人
- 安心感を重視したい人
- 住宅展示場のモデルハウスを見てメーカーを決めたい人
- アフターサービスを重視する人
- 間取りやデザインに強いこだわりがない人
- 最新の住宅性能や設備に関心がある人
家づくりに手間や時間をかけたくない人
自分で間取りやプラン、その他の細かな仕様を決めることが面倒だという人には、ハウスメーカーが向いています。ある程度標準的なプランが準備されているので、決めなければいけないことが工務店に比べて少なく、打ち合わせなども効率的に進んでいきます。
安心感を重視したい人
ブランド力や知名度、倒産リスクの低さなど、安心感を重視したい人には、ハウスメーカーが向いています。有名なメーカーで家を建てたい、万が一のことが心配、といった場合には、ハウスメーカーを選んでおくと安心感があります。
また、仕様や工程が標準化されているため、どこで建てても一定水準以上の品質や性能が保証されているという安心感もあります。

品質のばらつきが心配な場合、とりあえずハウスメーカーを選んでおけば、一定の安心感はあるよね。
住宅展示場のモデルハウスを見てメーカーを決めたい人
カタログや写真だけでなく、リアルな空間を体験してから決めたい人にはハウスメーカーがおすすめです。住宅展示場では、いつでも好きな時にモデルハウスを見学することができます。複数の展示場を回ることで、様々なパターンのモデルハウスを見学することも可能です。
工務店では、住宅展示場にモデルハウスを建設していない場合がほとんどです。その工務店が施工した引き渡し前の家をモデルハウスとして公開していますが、引き渡し前の2週間程度しか公開されていないために、タイミングが合わなければ、希望する家を見学することができません。
アフターサービスを重視する人
家を建てた後のメンテナンスへの安心感を重視する人には、ハウスメーカーがおすすめです。アフターサービスが充実している工務店も増えてはいますが、規模によってサービス内容は様々です。
その点、ハウスメーカーではほとんどが大企業。アフターサービス専門の部署があるなど、サービス内容が充実しています。
間取りやデザインに強いこだわりがない人
規格のプランで十分満足できる、特にこだわりがない人にはハウスメーカーがおすすめです。決められた中から好きなものをものを選択していくだけなので、プランニングの負担が少なく済みます。
その分、よく見かけるような外観、内装の家になりますが、そのような一般的な家を求める人には相性が良いでしょう。
最新の住宅性能や設備に関心がある人
耐震性能や断熱性能など、最新の住宅性能や住宅設備に関心がある人はハウスメーカーがおすすめです。メーカー独自の高い技術力に期待ができます。
工務店でも最新の住宅性能に対応している場合もあります。ただし、工務店の規模や方針により仕様は様々です。工務店の公式サイトなどで調べたり、担当者の話を聞いたりするなどして仕様を確認するようにしましょう。

私たちが選んだメーカーは工務店だけど、耐震性能3、断熱性能6で長期優良住宅の認定を取れる仕様だったよ。
工務店がおすすめの人
工務店を選ぶ大きなメリットは、完全な自由設計での注文住宅を建築費用に予算をかけてコスパ良く建てることができる点です。そのため、以下のような人には工務店での家づくりが向いています。
- 細部までこだわった自由設計の家を建てたい人
- 建築費用に予算をかけたい、コスパを重視する人
- 土地探しから家づくりまで、その地域に詳しい会社に一貫してお願いしたい人
- 設計担当者や現場の職人さんとのコミュニケーションに重きを置く人
- 自然素材や特定の伝統工法などにこだわりがある人
細部までこだわった自由設計の家を建てたい人
工務店の最大のメリットは、完全な自由設計で自分だけの注文住宅を建てることができることです。間取りやデザイン、素材など、細部までこだわった自分たちだけの家を建てることができます。
日々のルーティンや趣味など、ライフスタイルは人によって様々です。自分たちのライフスタイルにマッチした自分たちだけの家を建てることができます。
使い勝手だけでなく、好みの見た目、色使い、空間も人によって違います。自分たちがよりリラックスできる空間づくりが可能なのが、工務店での自由設計です。
標準的な家では満足できない、自分たちだけの独自性を持たせたい、自分たちのライフスタイルにマッチした家を作りたいと考えている人には、工務店での家づくりが向いています。

私たちの場合、家の顔となるオーダーキッチン、周囲を気にしないでBBQやサウナを楽しめる中庭、キッチンを汚さないために土間に設置した魚を捌くサブの流し台などこだわりのポイントが沢山!こんなこだわりの家を建てたい人は、工務店を選ぶと良いよ。
建築費用に予算をかけたい、コスパを重視する人
工務店の場合、建築費用に含まれる広告費などのコストがハウスメーカーに比べて少ないです。全体の建築費用が安くなるので、その分建物の費用に予算をまわせます。
例えば、家づくりに使える全体の予算が同じ4500万円だったとしても、ハウスメーカーの場合はオプション無しの標準仕様、工務店の場合はこだわりを詰め込んだ豪華仕様にできます。

広告費などのコストが、そのハウスメーカーの安心感などに繋がっていると言えるね。そのような実態の見えない価値よりも、建物自体の価値にお金をかけたい!ってゆうコスパ重視の考え方の人には工務店が向いてるよ。
土地探しから家づくりまで、その地域に詳しい会社に一貫してお願いしたい人
工務店の場合、限られたエリア内でのみ施工を担当します。長年同じ地域で家を建てているので、その地域独自の気候風土や土地のことを熟知しています。
その土地の不動産会社との関わりも強いので、土地探しも含めてサポートして欲しい人には工務店での家づくりが向いています。
設計担当者や現場の職人さんとのコミュニケーションに重きを置く人
営業担当だけでなく、設計担当者や現場の職人さんとも直接コミュニケーションをとりながら、納得して家づくりを進めたい人には、工務店での家づくりが向いています。
例えば、プラン作りの打ち合わせの際に設計や営業の担当者に気になることを色々教えてもらったり、建設中の家を定期的に見学に行って職人さんの話を聞いたりと、家づくりのプロセスも楽しむことができます。
工務店の場合、会社の規模が小さいこともあり、自分たちの家づくりに関わる従業員の方や職人さんと直接話をする機会が多く、コミュニケーションがとりやすい特徴があります。
設計担当者に自分たちの理想を伝えやすいだけでなく、工務店の社長さんや現場の職人さんともコミュニケーションを取れるので、進捗具合などの情報の共有もスムーズに進みます。

工務店の場合、施工する大工さんなどの職人さんはいつも決まった人。工務店と提携している職人さんの関係性が良好だから、必然的に情報の共有もスムーズになるよね。急に今から見学に行ってもいい?って担当者にお願いしても、職人さんが準備して待ってくれていたりしたよ。
自然素材や特定の伝統工法などにこだわりがある人
無垢材や漆喰などの自然素材を使いたい、特定の伝統工法などで家を建てたいといったようなこだわりがある人には工務店がおすすめです。
工務店によっては、独自の工法や素材を売りにしているところもあります。そのような工務店を探して、こだわりを実現できます。
ハウスメーカーと工務店の違いに関するよくある質問

ハウスメーカーと工務店がどのように違うのか、初めて家づくりをする人にとってはわからないことばかり。ここでは、ハウスメーカーと工務店の違いに関するよくある質問・疑問についてまとめます。
Q1:ハウスメーカーと工務店以外の選択肢はある?
ハウスメーカー、工務店以外にも選択肢はあります。主な選択肢としては、『設計事務所』や『ローコスト住宅専門業者』などが挙げられます。
- 設計事務所(建築家)
- 家の設計と、工事が設計通りに行われているかのチェックを専門に行います。
デザイン性が非常に高く、完全な自由設計が可能です。施工は、設計事務所が提携している工務店にて行われます。施主が自分で工務店を探して手配する場合もあります。
設計費が別途必要になりますが、こだわりの家を実現したい人には一つの選択肢となります。 - ローコスト住宅専門業者
- 低価格な住宅の提供に特化した会社です。
徹底的に無駄を省き、仕様やデザインをシンプルにすることで、コストを抑えています。建築費用をできるだけ抑えたい方には選択肢の一つとなりますが、プランの自由度はかなり低い場合が多いです。
建築条件付きの土地は施工業者を選べない?
「建築条件付き土地」とは、家を建てるハウスメーカーや工務店が指定されている土地のことです。原則として、その指定された会社以外で家を建てることはできません。
これは、土地の売主(不動産会社など)が特定の建築会社と提携し、土地を比較的安く販売する代わりに、建物の建築で利益を得る仕組みになっているためです。
土地売買契約を結んだ後、一定期間内(通常は3ヶ月程度)に、指定された建築会社と建物の請負契約を結ぶ必要があります。もし期間内に契約がまとまらなければ、土地の契約も白紙に戻り、支払った手付金などは返還されるのが一般的ですが、契約内容は必ず確認しましょう。
「建築条件を外してほしい」と交渉することも可能ですが、その場合は土地の価格が上がることがほとんどです。
見積もり額が適正か調べる方法は?
家の見積もりは高額で内容も複雑になっています。その金額が適正なのか、不安になる人も多いでしょう。適正価格かどうかを調べるには、以下のような方法があります。
- 相見積もりを取る
- 見積もり項目を詳しくチェックする
- 坪単価だけでなく総額で比較する
- 標準仕様を確認する
相見積もりを取る
相見積もりを取ることは、見積額が適正かどうかを判断するうえで最も重要です。最低でも3社、できれば異なるタイプの会社も含めて、できるだけ同じような条件で見積もりを取り、比較しましょう。
見積もりの項目を詳しくチェックする
見積書には、『本体工事費』『付帯工事費』『諸経費』といった項目があります。詳細な内訳まで確認し、どこまでが含まれているのかを把握しましょう。『一式』という表記が多い場合は、具体的な内容を質問することも大切です。
付帯工事費:野外給排水工事や外構工事など
諸経費:ローン手数料や登記費用など
坪単価だけでなく総額で比較する
建物本体の基本価格が坪単価で表される場合が多いです。しかし、坪単価は建築会社によって計算に含める範囲が異なるため、単純に比較することはできません。

工務店Aでは坪単価(基本価格)の中に標準仕様として含まれているが、工務店Bでは坪単価の中に含まれず、オプション費用として外に出ている可能性も十分にあるよ。
複数社の見積もりを比較する際は、坪単価だけでなく最終的に支払う事になる『総額』で比較する様にしてください。
標準仕様を確認する
キッチンやバスルーム、壁材などの標準仕様が会社によって異なります。グレードの違いも価格に大きく影響します。しっかりと確認するようにしてください。

例えば、床に使う素材は、無垢材、フローリング、クッションフロアなど様々。どれが標準仕様なのかによって、コストが大きく違うよ。その他にも、屋根の種類や外壁の種類など、使用する面積が多くなるものは、材料によってコストが大きく変わるから注意しよう。
希望している材料や仕様が、標準なのかオプションなのかも、しっかりチェックしておきましょう。
まとめ:ハウスメーカーと工務店の違い

ハウスメーカーと工務店、どちらも家を建てる建築会社ではありますが、それぞれ強みや弱みがあります。これから家を建てるあなたが、何を重視するのか、どんな家を建てたいかによってどちらを選ぶことがベストなのかが変わってきます。
ハウスメーカーでの家づくりに向いている人
- 家づくりに手間や時間をかけたくない人
- 安心感を重視したい人
- 住宅展示場のモデルハウスを見てメーカーを決めたい人
- アフターサービスを重視する人
- 間取りやデザインに強いこだわりがない人
- 最新の住宅性能や設備に関心がある人
特に強いこだわりがなく細かい部分まで仕様を決めるのが面倒な人や、大手にメーカーを選ぶことでの安心感を重視したい人には、ハウスメーカーでの家づくりが向いています。会社の規模も大きいので、家を建てるエリアを限定されることもありません。
工務店での家づくりに向いている人
- 細部までこだわった自由設計の家を建てたい人
- 建築費用に予算をかけたい、コスパを重視する人
- 土地探しから家づくりまで、その地域に詳しい会社に一貫してお願いしたい人
- 設計担当者や現場の職人さんとのコミュニケーションに重きを置く人
- 自然素材や特定の伝統工法などにこだわりがある人
唯一無二の自分たちだけの家づくりをしたいなど、家づくりに対するこだわりが強い人や、家づくりの過程においても深く関わりたいと考えている人などには、工務店での家づくりが向いています。エリアは限定されますが、同じようにこだわった家づくりをする場合には、ハウスメーカーに比べて費用を安くできる可能性が高いです。
メーカー選びだけでなく、家づくりにおいて良い選択をするためには、まずは自分や家族の理想、生活パターンなどをよく知ることが大切です。
今までの生活、新しい家での生活をイメージを想像しながら情報収集から進めていくようにすることで、後悔のない素晴らしい家づくりを実現できます。